プロローグ

「20歳になったその日に家を出る」

高校を卒業してからずっと計画していた。

四六時中、喧嘩をする母親と父親との生活に限界を感じていた。

朝は「おはよう」の代わりに、
「あんた、なんでそんなに不味そうに食べてるの。要らないなら朝ごはん食べるな」
と父を注意する声から始まり、
父が台所のタオルで手を拭けば
「そのタオルで拭くな。汚らしい。自分のタオルを持ち歩け」
と言い、
父が掃除機をかければ
「角までしっかりやってないからもう1度やり直して。」
リモート会議が始まれば
「声がうるさいから外でやってきなさい」
と怒鳴る。

これが毎日続く。よく私にもとばっちりがくる。

結婚したくない、と年頃の娘が思うくらいには最悪の相性夫婦だ。

家出を想起するには十分だった。

そして、20歳になった深夜1時にクレジットカードの申し込みをし、カードが届いた次の日に家を出た。

投稿日:
カテゴリー: 未分類

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です